「昔から百合のCP表記は左右じゃなくて語感重視」という発言を見るたびにモヤモヤします。
その昔っていつ?
少なくとも私が知っている15〜16年前の頃は、二次創作を探せば左右表記は分けられていましたけど?って。
百合好き歴でバトルをしようというわけではなく、単純な疑問。この世代は一定数いると思うけど、話題にならないのが不思議です。
学級会を開きたいわけでも、文句を言いたいわけでもありません。これはただの事実と考察。インターネット老人の個人的見解ですので悪しからず。
この記事は、
・事実として、左右表記を分けていた時代はありましたよ
・いつから語感重視が常識になったのかは不明だけど、もしかしたらpixivやSNSの普及がターニングポイントではないか?
・語感重視派と左右表記は分けたい派の間では、「CP表記」に求めている役割や性質が違うことが理由ではないか?
の3つの点で百合のCP表記について好き勝手に書いていきます。
私が見た左右表記がきっちり分けられていた百合――そう、あれはマリア様がみてるの二次創作を探していた頃。(回想タイム)
あの頃はpixivなんていう大型バザー会場みたいなものは無くてねぇ、個人サイトをめぐったものさ。
まあ、私はオンラインのみのROM専だったんだけどね。
あの頃の二次創作といえば、ジャンル毎に〇〇サーチというリンク集サイトがあって、
サーチエンジンに登録されているタグやバナーを見て好みの作品がある個人サイトを選び、
トップページの注意書きを読んでエンターボタンを押し、サイト主のプロフィールや日記がある中から
「イラスト」「漫画」「小説」「ギャラリー」を選んで、更にその先で作品のサムネイルや説明を見ていたのよ。
時々エンターボタンが見つからなかったり、ダミーだったりしてね。
サイトのトップページには来訪者を数えるカウンターがついていて、キリのいい数字、キリ番を踏むと、BBSやWEB拍手でリクエスト、キリリクを受けてもらえたっけ。
それと、今では平置きされている年齢制限作品やナマモノジャンルだけど、個人サイトでは基本的にパスワードがかけられた別ページの中にあって、サイトの中を入り口やパスワードを求めてさまようのが当たり前だったんだよ。
大量の★の中にパスワードが隠されている時は、私は結局見つけられなかったねぇ。(回想終了)
で、この個人サイト時代には、作品には「A×B」「B×A」と左右を分けた表記がされていました。
一口に祥子さまと祐巳ちゃんの二次創作といっても、祥×祐と祐×祥は別物として並べられていたのです。
でも最近はそういった表記分けが少ない。なぜか。
まず一つ考えられるのは、冒頭にも述べたpixivの普及。
pixivはオリジナルも二次創作も、男の子も女の子も、NLもBLもGLも(GLって懐かしいな)、全年齢も年齢制限も、ぜーーーんぶ集まった場所です。
昔で言うよろずサイトもびっくりの、とんでも大型市場。
何もかもがごちゃ混ぜになったサイトの中で、タグを駆使して公開し、お目当ての作品を探すのが現在のオンライン創作環境です。
pixivはあらゆるジャンルのオタクを一ヶ所に集めただけではなく、創作の敷居を下げました。
昔は創作物を公開するためには、まず自分のサイトを構える必要がありました(お絵描きBBSや魔法のiらんどみたいなサイトもあったけど)。
サイトを構えるとは、アカウントを取得するのとはわけが違う。
マンションの空き部屋を借りるのではなく、土地を得て資材を集めて設計図の通りに家を建てる必要があるのです。
古の創作オタク達は、絵や小説を作る技術だけでなく、htmlなどのサイト構築知識も必要だったようなのです。
pixivは公開場所を提供したことで、サイトを作る技術やそこまでに至る執着心や発想は持たない人でも、
お気軽お手軽に作品を作って広く公開できる環境を作ったのです。
すると今度は、見つけること/見つけてもらうことは簡単かつ難しくなります。これはSNSの普及も同じく。
昔は検索エンジン→リンク集サイト→個人サイト→ギャラリーページ→作品などと段階を踏んでいましたが、現在はもっと少ない手数や手段で作品にたどりつかなければいけない。
創作物も作品を語る発言も増えた現在では、左右表記の違いは表記の揺れとなり、検索の手間と漏れが増える原因となっているのではないでしょうか。
BLは今でもキッチリ分けてるのかな?それに対してどうして百合だけ?となると難しい疑問だけど。
その辺は百合界隈はBLに比べて逆カプへの苦手意識が比較的薄い人が多いらしいのと、百合というジャンルのノイズの多さが理由だったりするのかな?
まず百合はBLに比べると見つけるのが難しい。概念も人によって友情から恋愛まで幅があるし。
今でこそ書店の本棚に百合コーナーがあったりするけど、昔は無かったりもしたし。
現在でも百合には罠が多くて……この話は脱線するので止めておきますが。
もう一つ、そもそもCP表記の役割が一つではないこと。
AちゃんとBちゃんの二人を指し示すための言葉としてのCP表記。これが語感重視と言われているものの大部分なのではないでしょうか。
それ以外のCP表記とは、AちゃんとBちゃんをえがいた作品の中身です。
例えるなら、前者はギョーザ、後者はギョーザの具材です。
肉ギョーザも野菜ギョーザもギョーザはギョーザ。
肉ギョーザを求めてスーパーに入ったら、まずギョーザコーナーに行ってお目当ての商品を選ぶ。
ギョーザは肉ギョーザのことも示すけど、ギョーザと言っただけでは肉ギョーザとは限らない。
今は少数派らしい「百合のCP表記は左右で区別する派」は、概要ではなく詳細を指していませんか?
少なくとも私はそうです。「A×BのAB」「B×AのAB」と使い分けています。
でも、これってpixivだと簡単には区別のしようがないんですよね。
こんな面倒な形のタグは検索がしにくくなるだけで誰も得をしない。
キャプションに書いてあれば良いかもしれないけど、探す側からしたら該当件数が大幅に減る。
選択肢はABかBAしか無い。両方を検索してみると該当件数に大きな偏りがある。
そうなると、探す側も探される側も、件数が多い方のタグを使うのではないでしょうか。
BLほどの左右固定に対する厳しさが無いならなおさら。
というわけで、「百合のCP表記は語感重視」というのは、百合の歴史の中では必ずしも真実ではないし、
CP表記とは一つの事象を指しているとは限らないので、語感重視ではまとめられない部分がある。
そのターニングポイントはpixivやSNSの普及ではないか、というのが私が持っている事実と考察でした。
ちなみに、pixivの開設は2007年。
プリキュア年表でいうとYes!プリキュア5。なのはでいうとStrikeS。
アニメはみなみけ、ひだまりスケッチ、らき☆すた、バンブーブレード、逮捕しちゃうぞフルスロットルなんかも2007年らしい。
これ以前から百合を愛好し二次創作を作ったり読んだりしていた人たちは、もしかすると百合でもCP表記は左右で区別するという意識を持っている人では?
マリア様がみてるとか、神無月の巫女とか、舞-HiME-とか、極上生徒会とか、ストロベリーパニックとか。色々と挙げたけど、当時は漫画と小説派だったのでアニメはあまりカバーできていません…。
うわぁ懐かしい……思い出すなぁ、本屋でドキドキしながら百合姫(百合姉妹だったかも?)のストロベリーシェイクを立ち読みして、舞-HiME-のコミックスを買った時のこと。