「イヒの憂鬱」を観に行ってました

朗読劇「イヒの憂鬱」を観劇してきました。
朗読劇×カラオケという触込み、お笑い芸人・声優・元タカラジェンヌというジャンルが異なる出演者、なんとなく既視感を感じるタイトル、詳細は不明……と、謎が多いイベント。どんなことが起こるのかとワクワクしながら、週末の渋谷へ向かいました。

会場はマウントレーニアホール。渋谷109のすぐ横にあってアクセスがとても良かったです。元映画館らしく、座席はゆったりしていて座り心地が良い、飲み物を置く場所があるのでワンドリンク制でも手元が空く、段差がしっかりある、とても快適な会場でした。
ビルの6階にあるため、エレベーターが長蛇の列で驚き&階段は疲れましたが……早めに到着するのが良い会場ですね。

さて、本題。ざっくりあらすじレポート&感想です。

パンフレットや登場人物紹介が無かったので、役の正式名が数名分しか分かりません……そのため今回は役名とご本人の名前を混ぜて記載しますがご了承ください。分かる方がいたら教えてください。

朗読劇パートの舞台は、カラオケバー「イヒ」。
あまり賑わいの無い「イヒ」で、天心向さん演じるおばけきのこ似の店長、遥菜瞳さんが演じるアニソンシンガー志望の従業員(名前が分かりませんでした……)、スパイク松浦さんが演じる結婚願望が強いが合コンで大敗してきたオフの従業員・らーちゃん、榊原ゆいさんが演じる関西弁でサバサバ喋るドンキ客のねーちゃん風の常連客・湯田村さん。
従業員と常連客による店長いじりが飛び交う、ゆるく営業中の「イヒ」にやって来たのは、相羽あいなさん演じるメジャーデビューを控えたアイドル・みちのうえあいなと、そのマネージャー・あやさ(苗字が難しくて覚えられませんでした)。

らーちゃんの合コンの忘れ物を取りに行かされて店長がいない隙に、カラオケバーらしくカラオケ大会が始まります。
劇中に始まるカラオケパートでは、湯田村さんの煽りでお店の外のラグビーファンと化した客席も立ってペンライトを振って参加OKでした。
ここで歌われたのは
榊原ゆい…タッチ/岩崎良美(あだち充先生のタッチ)
遥菜瞳…涙目爆発音/ワルキューレ(マクロスΔ)
相羽あいな…トライアングラー/坂本真綾(マクロス)
スパイク松浦…DIAMONDS/プリンセスプリンセス
松浦さんアニソンじゃないんかーい!と思っていたら、冒頭少し歌い始めたところで、帰ってきた店長に強制終了させられました。

一通り盛り上がって飲んだことで、らーちゃんと湯田村さんは帰宅。
残ったあいな&あやさは残って飲み直すことに。
アニソンシンガーを目指す遥菜さんが、メジャーデビューが決まったというアイドルあいなに話を聞きたいと声を掛けますが、途端に暗い顔になり、注文したばかりのハイボールを残して帰ってしまいました。
そんなアイドルあいなをタクシーに乗せて見送り、お店に戻って来たマネージャーあやさ。「あいなといる時は仕事だから」と飲まなかったお酒を飲み、先程は辞退していたカラオケを一曲歌います。
「私なんてそんな……」「ほんとすみませんね……」と遠慮がちな態度で笑わせて来たかと思いきや、宝塚歌劇団の「EXCITER!!」を全力歌唱。そのあまりの完成度に呆然とする店長&従業員コンビ。
「宝塚がお好きなんですか?」
「はい、もう大好きなんです!89期生が推しで、○○さんとか○○さんとか……」
「もしかして遥菜瞳って……」
「知ってます!文化祭のパンフレットも持ってます!」
と、中の人ネタを挟みつつ、マネージャーあやさの過去が語られました。

実はあいなとあやさは、元々二人でユニットを組んでいました。アイドルが大好きなあやさがあいなを誘い、二人でアイドルになったのです。しかし「自分は好きなものを語って広めることが合っている」「あいなの魅力を沢山の人に伝えたい」という想いから、アイドルを引退してマネージャーになったのでした。

ふーん、百合じゃん。

ついにメジャーデビューが決まって喜んでいたところだったのですが、最近あいなの様子がおかしくて……と悩みをこぼすマネージャーあやさ。

お酒も飲み終わり、「また来ますね」とお店を後にしました。
去り際に「良いお店ですね、化(か)」というオチをつけて。

後日、相変わらず常連の湯田村さんしかお客さんがいないイヒ。店長が、珍しく倉庫からの在庫出しを率先してやる遥菜さんの成長に感心していたりと和やかな雰囲気のお店に、慌てた様子のマネージャーあやさが駆け込んで来ます。
アイドルあいながラジオの収録に現れず、連絡も取れないと。
マネージャーあやさの訴えに協力して、イヒのメンバーは捜索に出ます。
お店を出ようとしたマネージャーあやさにメモを渡し、留守番を名乗り出た遥菜さん。
これはもしや…?と思ったら、実はアイドルあいなはイヒの倉庫に隠れていたのでした。

アイドルあいなは遥菜さんに促され、行方をくらました心情を吐露します。
元々二人でアイドルとして頑張っていたのに、あやさが引退してしまい自分だけがメジャーデビューすることになった負い目やプレッシャーから、どうしていいか分からなくなってしまった。二人で夢を叶えたかった、あやさの夢を諦めさせてしまった……という本音。

まあ、お察しのとおり、聞いてますよね。お店の外にいて欲しいと遥菜さんに指示を受けていたマネージャーあやさ、ご入店です。
そして本音を訴えながらも戸惑うアイドルあいなに、ビンタで喝を入れます。
自分は夢を諦めたつもりは無い、今はアイドルあいなの活躍を一緒に夢見ている。ステージの裏からではあるけれど、ユニット時代と変わらずパートナーとして活動していきたい。

ふーーーん、百合じゃん!

本音をぶつけ合ったことで「改めてこれからもよろしく」と絆を強めた二人。

一件落着かと思いきや「まだや!まだ言いたいことがある!」と不穏に叫ぶアイドルあいな。

「その喋り方なんなん!?マネージャーだからって急に敬語になって……寂しかった」
「ごめん……じゃあこれからは、今まで通りに話すな!」

へーーーーーーーー、百合じゃん!!!!!ありがとう!!!!!

今度こそ大団円を迎えましたが、せっかくつかんだ仕事をすっぽかしてしまったことを思い出したアイドルあいな&マネージャーあやさ。

マネージャーあやさが慌ててラジオ局に謝罪の電話を入れていると、お店に戻って来た湯田村さんがあやさの携帯を奪い喋り始めます。
「その声、沢田ちゃん?久しぶりー!なに、今番組持ってんの?」と、なにやら訳知り顔(電話だけど)。
「みちのうえさんね、私話長いじゃん?つい引き止めちゃって、ごめんねー!」と、上手く話を通してくれたようで、ラジオ収録ボイコットの件は丸く収まり、更に別番組への起用まで取り付けてくれた湯田村さん。
劇中ではぼかされていたのですが、実は伝説のアイドルだったようで、業界に顔が利くようでした。

無事にすれ違いも事件も解決し、最後はみんなでカラオケバーを満喫し、朗読劇は終了しました。
最後のカラオケパートのセットリストは以下の通り。

榊原ゆい…あの子はあさりちゃん/(あさりちゃん)、残酷な天使のテーゼ/高橋洋子(エヴァンゲリヲン)
遥菜瞳…鳥の詩/ria(AIR)、輪舞-revolution-/奥井雅美(少女革命ウテナ)
伊藤彩沙…恋のミクル伝説/朝比奈みくる(涼宮ハルヒの憂鬱)
相羽あいな…Let It Go/松たか子(アナと雪の女王)
伊藤彩沙…BLACK SHOUT/Roselia(バンドリ!)
相羽あいな…す、好きなんかじゃない!/市ヶ谷有咲(バンドリ!)
全員…Butter-Fly/和田光司(デジモンアドベンチャー)

榊原さんは懐アニメロで攻めてきました。さすがにあさりちゃんは存在くらいしか知らなくて戸惑いましたが、榊原さんが煽り上手なのでバッチリ楽しめました。

遥菜さんは「国歌を歌わせていただきます」と言ったり、劇中のマネージャー&アイドルコンビをイメージして輪舞を選んだりと、オタカラジェンヌっぷりを発揮されていました。

伊藤&相羽コンビは二人で出てきて漫才を繰り広げてから、各々の歌に入っていました。アイドル役だからと終始可愛い系の声で通していたあいあいを
「クロちゃん?」
「クロちゃんじゃない!あいな!」
「じゃあ頑張ってな、シロちゃん」
「シロちゃんじゃない!クロちゃん!違うあいな!」
と弄り倒したり、お互いの曲を歌う際には振り付けを教え合ったとか(後にあいあいは間違えていたと突っ込まれましたが)。

恋のミクル伝説の彩沙ちゃんは、あの絶妙な音痴を完全再現していて器用だな、と改めて思いました。

そしてあいあいのLet It Goは、いつもは真っ直ぐに飛んでいくパワーが横に広がる感じ。とても伸びやかで、聴いていてすごく気持ちよかったです。こういうタイプの曲も合うみたいなのでもっと聴きたい。

最後に客席も一緒に歌ったButter-Flyでは、天津向さんも歌って歓声が起こるなど大盛り上がり。スパイク松浦さんは「木村カエラさんのButterflyだと思ってそっちを聴いてた……」とのことでWowだけ全力で歌っていました(”結婚願望は強いのに男運が無い女役”で真っ先に浮かんで向さんがキャスティングしたらしく、アニメのことは全く詳しくないらしい)。

終演後の挨拶では、続編をやって欲しい、ぜひまた出演したいと女性メンバーがわいわい盛り上がる中、

「みちのうえあいなはメジャーデビューが決まりましたし、相羽あいなも最近シングルが発売されまして……」と敏腕マネージャー役が板につき過ぎな彩沙ちゃんが面白かったです。
あいあいに、アイドル相羽とマネージャー伊藤って配役逆じゃない!?と戸惑ったけれど、稽古をしていく内に頼れるマネージャーに見えてきたと言わしめたデキる女っぷり。

榊原さんに伝説のアイドル、アニソン好きでライブ活動も始動するという遥菜さんにアニソンシンガー志望の役が振られたりと、多角的に楽しめる朗読劇。
更に劇中でカラオケパートに入る時は、榊原さんが世界観に客席を巻き込んで面白く起立&着席を指示してくださり、とてもスムーズ&快適な時間でした。

客層の広さも印象的でしたね。明らかに”俺ら”って感じの人もいれば、宝塚ファンと思しきご婦人もいたり、地味にカオスでした。その分、カラオケパートはちょっと大人しめだったかも。
内容、配役、雰囲気など、新鮮なことが多くて面白いイベントでした。
出演者のみなさんの希望通り、続編が開催されたら嬉しいなーと思います。

p.s.

百合だと思ってなかったところに百合があるとめちゃくちゃ嬉しいよね。

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