回る回るステージ最前列で観た三森すずこさんの背筋

少し前に、ウエスト・サイド・ストーリーを観に行っていました。
ダブルキャストの出演者は宮野真守、北乃きい、三森すずこ、小野田龍之介、中河内雅貴(敬称略)の公演。
なんと、最前列!中央付近やや下手寄り!
お察しの通り三森すずこさん目当てでの観劇だったのですが、アニータが登場するダンスシーンでは常に目の前にあの背筋が!!!
みも運良すぎない???

初めて行く劇場やホールについては事前にしっかり調べていく派なので、IHIステージアラウンドシアターは座席間が狭いという噂を小耳に挟んでいました。

が、最前列なのでそんなの全く気にならない。最高。快適。もう最前列しか座りたくない。

IHIステージアラウンドシアターの最前列は、アトラクション感が強かったです。
開演のベルが鳴り座席が動き出すと、スクリーンの映像と相まって、目が回るような浮遊感。
ギャングが吸っているタバコや、ステージ上に焚かれるスモークの匂いまで感じられる近さ。
気分は遊園地でした。

この劇場は、幕が上がるというより横に開いていく形態。
視力検査のランドルト環の中にいるみたいな感じで、どんどん景色が変わっていきます。
セッティング済みの複数のステージセットがあり、場面に合わせて客席が回転していく新感覚ステージ。
セットが隠れている(暗幕と言っていいのか?)時でも、目の前をキャストが徒歩やバイクで移動していて、常に誰かが舞台上にいたように思います。
セットの移動が無いためスピーディーに展開していく、という前情報の通り、途切れることのない舞台でした。

IHIステージアラウンドシアターの特殊性を一番感じたのは、複数個所でそれぞれの人物が歌うシーン。
多分ジェッツとシャークスの決闘前あたり。
左端ではアニータ、中心ではマリア、右端では(多分)トニーが、両ギャングの決闘やその後のデートに向けて盛り上がっている場面です。
最前列だと、視界に収まりきらないんですよ、広すぎて。
みもりん目当ての私は左、マモ目当てのお姉さま方は右を向いていたので、周りの人達の推しが分かった瞬間でした。

最前列では、近さはもちろん高さでも凄さを感じました。
マリアの家のベランダでの逢瀬シーンでは、ベランダがせり出して来たことで、真上を見上げる形になります。
すごい臨場感!
セットの2階にキャストがいる時は遠く感じることもありましたが、ステージの際までキャストが来るとめちゃくちゃ近い。
最前列とステージの高低差があまり無いので、こんなに近くで色んな角度から宮野真守を観ていいの???と驚き。
近さも高低差も楽しめるすごい舞台でした。

さて、席の感動についてはこのくらいにして。

まずダンスが凄い!!
冒頭のジェッツとシャークスの小競り合いは、バレエを通り越して新体操を見ているのかと思いました。
ガラの悪い野郎どもが、華麗に飛んで跳ねて目まぐるしいこと目まぐるしいこと……。
ギャングボーイ達のダンスはどれも軽やかさに圧倒されました。
めっちゃ筋肉。筋肉枠では色白細マッチョのアクション君推しですね。
ダンスパーティーやシャークス女子の見せ場は、楽曲のテンションも相まってめちゃくちゃ楽しい。
ダンスパーティーでは、それぞれのお国柄が現れた振り付けでダンスバトルが繰り広げられるパートが好きです。
シャークス女子のAmericaはキャッチーなメロディとコミカルな歌詞で可愛いねぇ、と思っていたのですが、長い。良い意味で。
ラテン系の楽曲が好きでいくらでも見ていたかったので嬉しいですけど、嬉しさと比例して、あの激しいダンスをあれだけ長い時間楽しそうに歌い踊るシャークス女子のパワーにどんどん飲み込まれていく。
そしてなにより、三森すずこさんの背筋。
多方面から大好評の美背筋が、惜しげもなくモリモリ動く。肩甲骨もグリッグリ動いてました。
その美しさには休憩中に「出番終わっちゃった…」と話すリフかベルナルド推しの女性が「アニータの人の背筋すごい綺麗だった」と漏らすほど。
序盤は本当に、良いものを見た!!!!という感じでウキウキでした。
歌はTonightが好きです。あの軽やかにフワフワとしながらもスッ流れるようなメロディが良いんですよねぇ。流れ星みたい。

楽しいダンスや音楽を挟みつつも殺伐とした物語の中で、逢瀬を重ねる主人公カップルのトニーが子犬。
昔は「なんやこいつ夜中の路地で女の名前を歌って、気でも狂ったのか」と笑っていたのですが(ごめん)(学校で軽いノリのまま観たから)、高い甘え声ではしゃぐ宮野トニーの子犬ぶりで、女の名前を歌うほど浮かれてたんだなと納得してしまいました。
というか宮野真守、スタイルおばけ。脚長すぎてびっくり。
ピチピチ白無地シャツとジーパンという、スタイルの良いイケメンにしか許されない格好がめちゃくちゃ様になり過ぎ。

子犬トニーの可愛さは理解しましたけど、トニマリ(オタクすぐCP表記する)の盲目カップル、段々とええ加減にせえよお前ら!!と言いたくなっちゃいました。
マリア!お前!そもそも婚約者おるやんけ~~!!
トニー!お前!尻に敷かれるの早すぎなんじゃ~~!!
どんだけ浮かれるんだこの二人~~!!!と。
まあ、それだけお互いに夢中になる熱愛が人々を惹きつけるのでしょうが。
でも、この二人がお花畑に突入しなければ……いや遅かれ早かれギャング同士の潰し合いはあったか……恋に落ちること自体に罪は無いよな(浮気だけど)……と、やるせない気持ちになります。

多分こんな風に思うのは、アニータがイイ女に見えたからなんですよね。
みもりん効果も多少はあると思いますが、アニータ姐さんイイ女過ぎません?
自分の恋人を殺した男との、問題があり過ぎる交際を認めて援助してくれるなんて、イイ女過ぎません?
女だって自由に楽しく生きてやる、という強さを、自分だけじゃなく相手のためにも発揮出来るイイ女。
マリアの恋に対して全力な姿を理解して背中を押せるところに、なんかこう、”女”を感じました。
女じゃないの、”女”なの。
アニータの強く羽ばたこうとする生き方がカッコイイです。
翼が見えた気がしますね、美背筋と美肩甲骨だけに。

だからこそ報われなかった展開が恨めしい。
単独丸腰の女にジェッツが手を上げなければ……
ジェッツの態度にアニータが失望してしまわなければ……
両者間に差別意識や人種的ないがみ合いが無ければ……
貧困格差に喘ぐ社会じゃなければ……
と、考えれば考えるほど、末端にいる少年達じゃあどうにもならなかったのかなぁとやるせないです。
調子に乗って乱暴になるジェッツはクソガキだと思うし、トニマリが二人だけで大盛り上がらなければとも思うし、素手で決闘だって言ったのにナイフを持ち出すのもダメダメだし、
小さな悪は散らばっているけど、元をたどれば彼らが生きてきた社会や環境に行き着くのが本当にやるせない。

別にどこ出身だろうと今は同じ地域に暮らす移民同士なんだからどうでもいいじゃん、無駄な張り合いやめなよ
と思ってしまうのですが、これは外国特有の偏見や差別意識に実感が薄いから抱く考えなんでしょうね。
荒くれものではあっても弱い立場に追い込まれて生きている子供の焦りも分かりませんし。
当人達には、どうしても受け入れられない何かがあるのでしょうね。

そんな余韻が残るカーテンコールは、ステージ上も客席も完全にお葬式でした。
あまりにも重苦しいクライマックスと終演の感慨の狭間で戸惑う観客、難しい社会問題を全力で演じきった直後のキャスト。
不思議な空気感でした。

これは後々知ったことなのですが、オープニングか幕間かエンディングかで映し出された映像で、たくさんの日付と地名がありました。

観ていた時は、ウエストサイドストーリーが上演されて来た歴史なのかな?意外な地域でも上演されてるんだなぁ、さすがだなぁと思っていたのですが、
あれは世界で起こった少年たちが絡む銃撃事件の日付と場所だったそうです。
映画を見たのは10年前だし、その時は楽曲を知るのが目的で内容への意識は低かったので、こんなにもメッセージを込めて作られた作品だったとは思っていませんでした。


色々と考えたり考えきれなかったりする深い舞台でしたが……
うーん、結果的にマリアはちょっとだけ魔性の女かな!笑

私はアニータがあの後の人生をもっと強く自由に生きてくれることを願います!
あと、チノに少しでも幸あれ!

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