私が定期的にツイッターで騒ぎ立てるゲームについて、文字数を気にせず思いっきり書こうと思います。
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」です。
2000年にニンテンドー64で発売されたアクションRPG。
2015年には3DSで、その後WiiとWii Uでリメイク版が発売されて話題になりました。
最新ハードでも遊べるようになったことで、新たに手に取った人もいたのではないでしょうか?
嬉しい。
でも、私は64版をオススメしたいのです!(リメイクはやっていないくせに)
今更64版なんて……と思われるかもしれませんが、ムジュラの独特な魅力は64版でこそ味わえると思うのです!(リメイクと比較してないけど)
いや、一人でも多くの人にムジュラの魅力を感じてもらえるなら、64版でもリメイク版でもなんでもオッケーなんですけどね。
以下、サブイベントのネタバレも多少含みつつ、ムジュラの好きなところを垂れ流します。
目次↓
①ムジュラの仮面とは?
②特殊なゲームシステム
③大人になって改めて分かる人間ドラマ
④最後に、どうしても伝えたいムジュラと64版の魅力
①ムジュラの仮面とは?
名作と名高い前作、「時のオカリナ」から続く作品。ゼルダシリーズは並行世界で各シリーズに分岐していくらしいですが、この「ムジュラの仮面」は「時のオカリナ」でハイラルを救ったリンクが、7年前に戻った世界線の続編のようです。(ゼルダ史について、詳しくは他サイトを参照してください。)
不気味な森を通り抜けようとしたリンクは何者かに襲われ、驚いた愛馬エポナから振り落とされてしまいます。
そこで今回の敵、ムジュラの仮面を被ったスタルキッドにエポナと大事なオカリナを奪われた挙句、デクナッツの集団に取り囲まれ……(子供の頃はこのシーンが本当に怖かった)。
気がつくとデクナッツの姿に変えられていたのでした。詳しくは(公式サイトへ)
スタルキッドを追って辿り着いたのは、3日後に月が落ちてくる終末世界・タルミナのクロックタウン。
この街の住人達は、同じく3日後に控えたカーニバルに向けて準備を進めつつ、月の落下に内心怯えながら過ごしています。
月の落下を阻止するべく、街の外にある4つの神殿に眠る巨人を呼びに行くのが、「ムジュラの仮面」におけるリンクの使命です。
手応えのある4つのダンジョンを、シリーズお馴染みの謎解きアクションで攻略しつつ、クロックタウンの住人の悩みを解決して、今作のキーアイテム・仮面を集めていきます。
このゲーム、とにかく画面が暗くて不気味!民族調の世界観がなんとも言えない味を出しています!
深夜のトイレからヌルッと出てくる生白い手はいまだにトラウマです!その手に大事な手紙を渡す罪悪感!
プレイした人ならわかるでしょう、この気持ち!
②特殊なゲームシステム
[時間制限とループ]
「ムジュラの仮面」は、約1時間で作中の3日間が過ぎていきます。ポーズ画面はありますが、基本的にノンストップ。
64版は途中セーブも不可で、一度始めたら、後は最初からやり直すか、世界が滅びるか、世界を救うかのどれかしかありません。
(リメイク版では途中セーブが出来るらしいです。個人的には少々無粋なシステムだと思いますが、ゲームをやる上で下手に時間に縛られないのは重要ですよね……)
クリアしてもしなくても初日に戻されるのが、このゲームの面白いところです。
解いたダンジョンの仕掛けも、集めたアイテムも、倒したボスも、出会った人との関係も、全て元通りゼロからの再スタート(特殊なアイテムは除く)。
毒の沼を越えて辿り着いた神殿はまた障害の奥に閉ざされ。苦労して引き揚げた神殿はまた海の中へ……。
とは言ったものの、リンク本人が得たものと、覚え・覚えさせた音楽は失われないので、それらを駆使しながら、攻略過程を省略しつつ進めていくことが可能です。
一度進めてしまえば、ラスボスを倒すだけならオカリナで何曲か演奏するだけ、10分程度でボス戦も終えてエンディングが見られます。
[特別な仮面で変身]
今作のリンクは、特別な想いが込められた仮面を被ることで、その顔の持ち主に変身することが出来ます。
冒頭で強制的に姿を変えられたデクナッツだけではなく、
雪山で無念の死を遂げたゴロン族の英雄、
歌姫を救おうと海賊に立ち向かうも返り討ちに遭ったゾーラ族の勇者の子孫。
3つの種族の姿を借りつつ、その特性を生かしてダンジョンを攻略していきます。
個人的にはゾーラの姿が好きです。スタイルが良くてカッコいい。操作も楽しい。
上記のメイン3種族以外にも、全てのお面を集めてようやく手に入る仮面を被ると、めっっっちゃくちゃ強くてカッコいい姿に変身出来ます。
また、変身後の姿によって子供になったり大人になったりするので、相手によって態度を変えるクロックタウンの住人達の反応も楽しめたり……。
変身しなくても、被るお面によって会話内容が変わります。ほんと細かい。
③大人になって改めて分かる人間ドラマ
「ムジュラの仮面」には、人の感情が色濃く描かれています。これこそムジュラ最大の魅力です。
RPGにおけるモブキャラといえば、話しかけても同じことしか言わないもの。クロックタウンの住人達も、基本的には御多分に洩れず同じことばかり言いますが、その台詞は作中の1日毎に変化していきます。
初日はカーニバルへの期待が大きかった住人達が、日に日に大きくなる月への不安を募らせていき……。
最期の日の夜には、大勢が避難して街から人影が消えます。
時計塔の鐘の音と地響きと共に退廃的なBGMが流れる閑散としたクロックタウンの片隅には、月など斬ってやると息巻いていた剣道場の師範が道場の奥で震えていたり、使命感と恐怖の間で苦悩する真面目な郵便配達員がいたり。結構生々しいです。
悲愴感ばかりではなく、序盤では孫の料理が壊滅的な不味さなのでボケたフリをして食事を回避しようとするお婆さん等、個性溢れる人々日常?が楽しめます。
そんな「ムジュラの仮面」の真の本編(だと私が思っている)は、たくさんあるサブイベント中でも特に濃厚な「アンジュとカーフェイ」「ロマニー牧場」です。(正式にサブイベントに名前があるかは記憶が定かではありません)
「アンジュとカーフェイ」
宿屋の娘アンジュと町長の息子カーフェイは、幼馴染の婚約者。カーニバルの日に結婚式を挙げようと約束していましたが、約束の日を控えたある日にカーフェイが失踪。
リンクはアンジュからカーフェイを探してほしいと頼まれます。3日間をフルに使って、カーフェイとコンタクトを取り、訳あって直接会うことが出来ない二人の橋渡しをし、全てのイベントをクリアすることで、最期の夜に二人を引き合わせることが出来ます。
ムジュラの中で一番大変なサブイベントなので、二人が手を取り合う姿は感慨深いものです。このサブイベントをクリアした上でラスボスを倒すと、特殊エンディングを見ることが出来ます。
もはやこのサブイベントがムジュラの本編と言っても過言ではないかと。
「ロマニー牧場」
街の外にある、高級ミルクを生産するロマニー牧場。経営しているのは若い2人姉妹。
もうね、この姉妹、絶対幸せにしてあげたい。
姉のクリミアさんは、牧場を切り盛りしつつ、幼い妹の面倒を見る優しいサバサバ系おねーちゃん。
妹のロマニーちゃんは、活発で無邪気なお嬢ちゃん。
この仲睦まじい姉妹に、なぜか世界は厳しいのです。
ロマニー牧場は元々姉妹の父親が経営していたのですが、亡くなったらしく今は2人だけ。
街へ行くための唯一の街道は大岩に塞がれ、ミルクの輸送が出来ない。
お隣の牧場を経営するゴーマン兄弟は意地悪、というかもはや悪党で、ロマニー牧場の仕事を妨害してくる。
ロマニー牧場の牛たちは宇宙人に狙われ、放っておくとキャトルミューティレーションされ、ロマニーちゃんも巻き込まれる。
財産である牛を失い(ダジャレじゃないです)、妹は記憶を消されて廃人同然。
さらに、クリミアもアンジュと同じく、カーフェイに想いを寄せており、失踪したカーフェイはクリミアの元へ行ったのではないかと疑われていて……それでも街から避難してくる大親友アンジュとその家族を快く迎え入れ……。
クリミアさんが何をしたっていうの!?!?!?
私はムジュラを起動する度に、必ずこの姉妹のサブイベントをクリアしています。
だって、絶対に幸せになって欲しいから……。
しかし、ムジュラの人間ドラマは、全て複雑に重なり合っているのです。
「残酷な三角関係」
「アンジュとカーフェイ」「ロマニー牧場」この2つのサブイベントは、発生時期が被っているのです。
アンジュさんからのお使いをこなしていると、その間にロマニーちゃんは廃人にされてしまいます。
クリミアさんのミルク輸送の手伝いをしていると、アンジュとカーフェイはすれ違ったまま世界が終わります。
プレイヤーはアンジュさんかクリミアさん、どちらかの幸せを選ばなければなりません。
というかそもそも、どちらを助けてもクリミアさんは幸せにはなれないのです。
親友とその家族に疑われた気まずい状況で避難の受け入れをするか、親友と想い人の結婚を祝福するか、財産も妹も失うか…………
ねえ!!クリミアさんが何をしたっていうの!?!?!?
つら……クリミアさん派の私は本当につらいです……でも好き。
クリミアさん、基本は明るくて優しいお姉さんなのに、どこか諦観的なんですよ。
牧場経営はアクシデント続き、実らない恋、横恋慕を疑われる気まずい立場。
クリミアさんはサブイベントの中で、月が落ちることへの諦めと、どこかそれを肯定的に受け入れるような発言を漏らします。
沼が……深い……。
月が落ちることを信じない(信じないようにしている)住人が多い中で、最期の夜の姉妹のやり取りが、クリミアさんの優しさが、本当に辛いのです。
ロマニー牧場のサブイベントに介入し、牛とロマニーちゃんの危機を救うと、今まで通り牧場経営に勤しむ姉妹を見ることが出来ます。
ロマニー牧場のミルクは、街のバーでしか飲めない大人の嗜好品。ロマニーちゃんは何度ねだっても「大人になるまではダメ」と言われてきました。
ですが最期の夜、家に帰る途中のロマニーちゃんに話しかけると、
「今夜はシャトー・ロマーニ(高級ミルク)を飲ませてもらえるの!」「また明日ね!」
と無邪気に言います(セリフはうろ覚え)。
一方クリミアさんは、物憂げな様子で
「また明日……ね」。
わかってるの!街外れの牧場でも、月が落ちてきたら助からないって!もう明日は来ないんだって!クリミアさんだけは分かってるの!一人静かに受け入れてるの!
あ~~~~~~~~~~~~~~~~~
無理。
こんな長い記事をここまで読んでくださっているみなさん、お願いです。
ムジュラをプレイして、クリミアさんを助けてあげてください。
④最後に、どうしても伝えたいムジュラと64版の魅力
そんなわけで、冒険よりも実は人間の感情がメインのアクションRPG、「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」への思いを吐き出しました。
ムジュラは運の残酷さ、時間に縛られた人間の無力さ、この世の無情を教えてくれる作品です。
1人の人間が出来ることには限界があると思い知らされます。
特殊なシステムに不気味な世界観も相まって、シリーズの中でも特に好き嫌いが分かれると言われているムジュラですが、私は本当に大好きです。
ゲームってなんだかんだ、世界がプレイヤーに合わせてくれるじゃないですか。
どんなに寄り道したって、ラスボスは世界を滅ぼさずに待っていてくれるじゃないですか。
でも、ムジュラは違うんです。自分が誰かを助けている裏で、必ず誰かが泣いているんです。
アンジュさんとクリミアさんだけではありません。他にもサブイベントがたくさんあります。
サブイベントをクリアすると手に入る仮面の全てに、ドラマが詰まっています。
ですが、その全てを1回の3日間でこなすことは、絶対に不可能なのです。
こんなにも、“世界にお邪魔する感覚”を得られるゲームはそうそうありません。
プレイヤーのための世界ではなく、世界のためのプレイヤーという立場を、ぜひ体感して欲しいです。
そして、その感覚を最大限に感じられるのが、途中セーブが出来ない64版なのです。
お願い、全人類「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」をプレイして。
懐古厨の私は64版が最高だと思っているけど、リメイク版も変わらず楽しいはずです。
お願いします。あなたが迷い込んだ世界のクリミアさんを助けてあげてください。
私の感想日記は視点がものすごく偏っていますので、この他にも楽しめる要素はたくさんあります。
濃厚な作品なので、書ききれないのです。
ひたすら思いを吐き出しただけでしたが、最後まで読んで下さった根気強い方が、少しでも「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」に興味を持ってもらえたら嬉しいです。